私の青年期

2022年11月に30歳になりました。焦っています。

残り83日 -コインランドリーの思い出(2)乾燥機グランマ・中華屋での待ち時間-

これは今年で30歳になる私が、20代を終える焦りで始めたブログです。
30歳までの100日間、毎日30分は時間を取って書いてみようと思います。
 
前回に続き、青年期の生活の記録としてコインランドリーにまつわる思い出を2つ書いてみたい。前回は少しバイオレントな内容だったが、今回はわりとほんわかしているはずだ。
③乾燥機グランマ

コインランドリーを使い始めて間もない頃の話だ。

乾燥機の操作に手こずっていると、優しそうなおばあさんが、

「これはね、ここにお金を入れてからボタンを押すのよ。こっちは下の段だから気を付けてね」と話しかけてくれた。

お礼を言い、気になっていたことを聞いてみた。

「このくらいの量だと乾燥って何分くらいですかね?20分で足りますか?」

「そうね、20分でも大丈夫だと思うわ」

「ありがとうございます。20分にしてみます」

「うん、それで一回様子見てみてね」

 

そして、一度家に戻り20分後にコインランドリーへ訪れると、何故かまだ乾燥機が回っている。おばあさんがいて、私に告げた。

「ごめんね、20分でまだ乾いてなかったみたいだから、もう10分回しておいたわ」

「え?本当ですか、ありがとうございます。お金は…」

「お金はいいから!勝手にごめんね」

おばあさんはそう言い、去ってしまった。突然の親切に、感謝よりも驚きを感じた。何故そんなことをしてくれたのだろうと不思議に思った。

 

帰り道、おばあさんのことを色々と想像した。

きっとおばあさんの家は洗濯機がない小さいアパートなのだ、そして一人暮らしで会話をする相手がいないのだ、だから人との交流を求めていたのだ。この街にはきっとあんな老人がいっぱいいるのだろうな、、

と、勝手に感傷的な気持ちになったことを覚えている。

今でも、おばあさんに教えてもらったとおり、乾燥は短い時間から試して、10分ごとに追加をするようにしている。ありがとう、私の第3のグランマ。

 

④中華屋での待ち時間

コインランドリーから徒歩20秒のところに、朝5時までやっている中華屋がある。全てカウンター席で、10席程度。いつからか洗濯の待ち時間に、夕食がてら入るようになった。

店主は中国人で、バッファロー吾郎A先生にとても似ている。今では店主ともかなり打ち解けて、あちらから唐突に日本の行政への不満を投げつけてくるくらいの関係性になった。

麻辣麺。店主いわくこだわりのメニュー

かつて、常連として認識されているかいないかくらいの頃の話だが、その日はコインランドリーの洗濯乾燥機が埋まっていて、洗濯機しか空いていなかった。つまり、洗濯してから、洗濯物を乾燥機に移す必要がある。

30分くらいで食事を終わらせて、乾燥機に移し替えに行こうと思い、中華屋に入った。しかし、洗濯が終わっただろうタイミングではまだ食べきれておらず、どうしようかなと思っていた。

そこで少し勇気を出して、店主に相談してみることにした。

「すみません、そこのコインランドリーで洗濯機回してるんですけど、乾燥機に移してきていいですか?お会計はするので」

「アア、イイヨ!ダイジョウブ!」

「いいですか!ありがとうございます」

今考えてみればお会計もするのだし、たいして問題はないお願いだと思う。それでも当時は、常連としてある程度の信用をされた気がして、嬉しかったのを覚えている。

 

その中華屋には今でも通い続けていて、月に何回かそこで待ち時間を過ごしている。料理の量が多く大抵ウーロンハイを頼むので、店を出て洗濯物を回収に行く頃には、満腹感と酔いでいつもふらふらの状態になっている。

そんな状態で、どうにか洗濯物を畳む。「きつい」、「早く横になりたい」、「やってらんねえ」と思いながら、黙々と畳む。そしてどうにか家にたどり着き、ベッドに倒れこむ。

この一連の流れに妙な達成感がある。「すごい頑張ったな……よくあの状態で洗濯物畳んだよ…と自分を褒めてあげたくなる。自分で勝手に食って飲んでいるだけなのに、何故かやり遂げたような心持ちになっている。

「ふらふらになるのが嫌なら、ウーロンハイを頼まなければいい」というのは正論である。だが、正論ばかりでは生きていけないのが、現代社会である。

これからも当分はウーロンハイで酔っ払いながら、洗濯物を畳む日々を送るだろう。

麻婆春雨定食