残り88日 -音楽について(2)ライブ The Music,Ringo Deathstarr-
これは今年で30歳になる私が、20代を終える焦りで始めたブログです。
30歳までの100日間、毎日30分は時間を取って書いてみようと思います。
ライブ13選
前回に続き、今回は3・4を書いていく。やっぱり非常に個人的な思い出だ。ライブを通して、どんなことを感じたか、などつらつらと書いていく。
- 2009/03 New Found Glory @新木場スタジオ・コースト
- 2009/08 SUMMER SONIC -KASABIAN- @幕張メッセ
- 2011/07 The Music @大阪Big Cat
- 2012/09 Ringo Deathstarr @高円寺HIGH
- 2015/05 eastern youth @名古屋CLUB QUATTRO
- 2016/05 どついたるねん × 神聖かまってちゃん @恵比寿LIQUIDROOM
- 2017/06 eastern youth × KING BROTHERS @新宿LOFT
- 2017/10 The Zoobombs × Indus&Rocks @元住吉POWERS2
- 2017/11 踊ってばかりの国 @東京キネマ倶楽部
- 2018/08 Less Than TV -FUCKER,二宮友和,ロンリー- @渋谷 TSUTAYA O-nest
- 2019/12 radioDTM -折坂悠太,MOROHA- @新宿LOFT
- 2020/01 Bon Iver @Zepp Tokyo
- 2022/02 OGRE YOU ASSHOLE × カネコアヤノ @めぐろパーシモンホール
3. 2011/07 The Music @大阪Big Cat
The Musicはイギリスのロックバンドで、2011年のこのライブは解散前のラストツアーだった。
高校生の頃、rockin'onに2000年代の名盤として紹介されていたのがきっかけで知ったのだと思う。彼らは親日家として知られていて、フジロックにも度々出演していた。このツアーの最後もフジロックだった。
早々に東京公演のチケットは売り切れてしまって、フジロックに行くようなお金はなかったが、大阪なら行けるだろうと友人のTを誘った。大学に入学してから初めての夏、早速自分の怠惰さから大学生活は色々と上手くいっていなかったので、内心逃げるような気持ちがあった。
ライブを観に、いわゆる遠征をするのは初めての経験だった。どうせ大阪に行くのならと、前乗りして兵庫に住む共通の友人Nに会うことにした。たしか夜行バスで行ったのではないか。朝にUSJの近くに着いて、Nと落ち合った。
初めてのUSJ、これがあの地球儀か!と何枚も写真を撮った。入り口をバックに組み体操をした画像がまだ残っている。よく入り口でこんなに盛り上がれるな、というくらい楽しんだ。
だが、結局USJには入っていない。手びねり陶芸体験へ向かったからだ。若さゆえか大人びていたのか、今ではもう分からない。淀川かどこかの粘土で作れるという誘い文句が、私とTの心をつかんだ。NはUSJを案内する気でいてくれたようだったが、頑なに陶芸を主張する私たちに渋々折れてくれた。USJより手びねりが熱い、そんな18歳だった。
踊るということ
いや、旅行記は置いておいて、ライブについて書こう。
結果として、このライブはそれまでに味わったことのない気持ち良さを教えてくれたライブだった。踊る、という楽しさを知った。それまでパンクバンドのモッシュがあるようなライブに行くことが多く、それらは「踊る」というより「暴れる」「叫ぶ」といった楽しさだった。
The Musicの音楽はとにかく踊れて、そして大阪の人柄なのか、周りの観客もみんな心から楽しそうにしていた。ブレイクダウンで「来るぞ来るぞ」と待って輪を作り、沸き立つその瞬間に輪の中に押しかけ、踊り、飛び跳ねる。それぞれが、それぞれの好きなように踊る。時には目を合わせ、相手の踊りに応えるように踊る。パンクバンドのライブの、一方向に向かって一斉に押しかけるのとはまた違う楽しみ方があって、これ最高だな、と感じた。
ライブが終わり明転し、踊り続けたTはTシャツを脱いで絞っていた。
会場を出て、放心したようにビルの前で座り込んでいると、バンドのメンバーが出てきた。不意に現れた彼らに驚いたが、チケットにサインでも貰おうとギターのアダムに「東京のチケットが取れなかったから、大阪まで来たんだ」と話しかけた。
すると、「そうなの?多分、ゲストで東京も入れてあげられるよ」と近くのスタッフを呼び寄せてくれた。そして、想像もしていなかったが、インビテーションで東京公演も観に行けることになった。
その何日か後、ありがたく東京公演を観に行った。満員も満員でなかなか踊れなかったが、今でもThe Musicは大好きなバンドだ。不意にこのグルーヴを身体が求める瞬間がある。
アルバムで聴くなら1stからがおすすめ。
4. 2012/09 Ringo Deathstarr @高円寺HIGH
Ringo Deathstarrはアメリカのシューゲイザーバンドだ。(今回改めて調べるまでイギリスのバンドだと思っていた)
フィードバック・ノイズやエフェクターなどを複雑に用いた深いディストーションをかけたギター、ミニマルなリフの繰り返し、ポップで甘いメロディを際立たせた浮遊感のあるサウンド、囁くように歌い上げるボーカルなどが、一般的特徴として挙げられる
といった音楽だ。My Bloody Valentineというシューゲイザーの代表的バンドのアルバムは、大抵のロック雑誌で取り上げられる名盤で、私も高校生の頃に洗礼を受けた。
それから何年か越しの、初めてのシューゲイザーのライブだった。大学の友人Gを誘い、噂で聞いていたサブカルタウン高円寺に初めて訪れた。ライブハウスでどんな風に聴こえるのか楽しみだった。
身を委ねるということ
ライブが始まり、轟音が鳴り響く。メンバーのアレックスがきれいだった。
だが、「あれ?なんか乗れないな」と思った。ステージを観ていても、大きな動きがあるわけでもない。黙々と演奏している。繰り返しのリズムが多く、ミドルテンポだし、踊りようがなく、楽しみ方が分からなかった。少しそわそわしながら、周りに合わせ身体を揺らしていた。
手持ち無沙汰のような状態で、ふと目を閉じてみた。
シューゲイザーサウンドが響いている中、段々とイヤホンで聴くのとは違う奥行きに気付いてきた。音の重なりがよく聴こえる。低音の振動が全身を揺らすのにも、心地良さを感じてきた。
視覚を捨て、聴覚に集中する。少しずつここがどこだか分からなくなるような、宇宙空間に投げ出されたような、そんな浮遊感を覚えるようになった。音の振動が、宇宙服のように身体の周りに膜をつくっている。
音楽に身を委ねる感覚。踊るというより、曲の展開のままに流され、身体が自然と揺れる。
エウレーカ!こうやって楽しむのか!と気付いた。ライブの新しい楽しみ方を学んだ瞬間だった。身を委ねる感覚、音の中に埋没していく感覚が新鮮で、その後の時間はすぐに過ぎていった。
私が観に行ったライブの2年前、同じ高円寺HIGHでの映像があった。
個人的には" Tambourine Girl"という曲が好きだが、公式にはあがっていなかった。アルバム「Colour Trip」に収録されている。