私の青年期

2022年11月に30歳になりました。焦っています。

31才まで残り34日 -坂田三吉、ドリエル-

まだ眠気の残る頭で、朝の通勤電車に揺られていた。少しでも脳を休ませようと目を閉じた。人間の五感による知覚は、視覚情報が8割を占めるらしいから。そしてぼんやりと仕事のことや、やらなければいけないことを考えていた。

不意にタワー状の建物のイメージが浮かんだ。「これは何だっけ、ああそうだ通天閣だ」。そして思考は数珠繋ぎになっていく。

通天閣は野球のイメージがあるな、何でだろう」、「ああそうだ、通天閣打法だ、坂田三吉の」。(坂田三吉は野球漫ドカベンの登場人物で、通天閣高校のエースで4番)「坂田三吉はたしかおばあちゃんと暮らしてるんだよな、そうそう」。「あれ。でも何で坂田三吉のことを考えてるんだっけ?」。

そこで自分が眠りに落ちようとしていることに気付いた。脈絡のないことを考え始め、そのきっかけが分からなくなる。それは夢の世界への入り口に立っていることを意味する。つまり寝落ち寸前ということだ。

会社の駅まであと少しのところで、「危ない、坂田三吉のこと考えてる場合じゃない」とどうにか目を開けた。坂田三吉のせいで危うく寝過ごすところだった。

 

 

全ての家事ややるべきことを終え、部屋を暗くして眠りにつこうとする。そんなときこそ、案外寝れなかったりする。頑張って色々こなすことで、頭が冴えてしまうのだろうか。何も考えないようにしても、何かしら考えてしまい、脳が働き続けてしまう。脈絡のないことを考えよう、意味のないことを考えよう、と無作為に単語を唱える。だが、それは自分にはあまり効果がない。「別に無理して眠ることない」くらいでリラックスするのが、自分には合っているようだ。

あと、まだ手法として確立しきっていないが、あえて「やるべきことを残しておく」という方法も有効だ。怠惰な自分の性質を利用し、「皿洗いしなきゃ」、「あの資料やらなきゃ」と思いつつ、逃避するように寝落ちさせるという荒業だ。翌日の若干の後悔と引き換えに、睡眠時間を確保することができる。

 

 

ドリエルのCMが好きだった。夜空を照らす月が低い声で「眠れないのかい?」と言う。大人になってみると、彼は優しいようで、優しくない気がしてきた。正直、睡眠導入剤よりベーシックインカムが欲しいよ。月に言っても仕方ないけど。


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